2007年6月制作。
「せっかくもらったカバンだけど
入れるものなんか、何もないや」
ハンスはつくづくと、カバンを見つめました。
「そうだ、入れるものが無ければ
ぼくが入ってやろう」
ところが何の気なしに錠前をまわすと
カバンはひゅうっと舞い上がり
煙突の穴を抜けて外にとびだしてしまいました。
アンデルセン作 「空とぶカバン」
「空とぶカバン」 30.5×45.5cm ロッドリングペン 透明水彩絵の具 鉛筆使用
親の遺産を湯水のように使いまくり、豪遊して無一文になった主人公・ハンス。
一人で不貞腐れていたハンスの元へ、昔からの友人がやってきた。
「人生ナントカなるもんさ。俺のやれる物ったらこれしかないかけど、何かの役に立つかも。元気出せよ」
友人が去った後に残ったのは 古びたカバン一つ。
カバンに入っちゃおう、なんてお前はエスパー伊東かよ!!
でも一人で部屋の中にいたらそんなモンだよね。その感覚が昔からのお話にもあって面白い。
空とぶカバンにのって着いた先は、別の国のお城の前。
話を聞けば、そこにいるお姫様はまだ相手もいない独身で、
とくによそ者とくっつくと良くないなんて占い師に言われたもんだから、なおさら部屋に閉じこもっているらしいとのこと。
「はぁ~なるほど」
そのままお城に忍び込んで 口あんぐりのお姫様に「あなたは誰ですか」と聞かれれば
大胆にも「
僕はトルコの妖精ですよ」と答える主人公ハンス。
「空を飛んであなたの元へやってきました」
この後の口説き方もすんごい。
あなたの瞳は黒い水をたたえた海です まるでダイヤモンドの輝きのようだ
その美しい海の中でマーメイドが泳いでいる
罪なまでのそのユーモアはどこで培ったんだい?
君はどこの国でもやっていけそうだね。
ハンスがお姫様と王様一家にしたものは 彼が作った空想のお話。
「空とぶカバン」は劇中劇も含まれています。
そのお話も私は大好き。
最後にお城の上で花火を撒き散らし、ロマンチックにやって見せたのだけど
火花が飛んでカバン炎上。
泣く泣くトルコの妖精も引退しなければいけなくなりました。
その後ハンスは各地でお話を聞かせながら世界各地へ放浪の旅へ。強いなぁ。
話術で魅了し、鋼鉄のパンツを履いてるような(失言?)お姫様と婚約まで持ち込み、
仕舞いにはそれを飯の種にしてしまったんだから拍手するしかないっって感じ。
お姫様はずっと部屋の窓にもたれて、妖精が来るのをまっていたというのに…。
この絵は現代風にして描きました。なんとなく、そうしたかったんです。